2023.01.27
人工透析とアロマセラピー
イギリスに渡って初めて見学させていただいた病院内でのアロマケアの風景を、今でも忘れることができません。
リクライニングチェアで寛いでいる患者さんと、その足をトリートメントしているアロマセラピストのペアが数組いらっしゃいました。その部屋には良い香りが漂い、皆が笑顔でお喋りをしていました。思わず、「ここは病院の中のリラクセーションルームなのかしら?」と思いましたが、案内してくれた方が「ここは透析ルームです」と仰って、初めてトリートメントを受けている患者さんの腕が、機械に繋がれているのに気づき、驚きました。
これは、高級な統合医療クリニックの話ではなく、一般的なNHS(国営医療制度)の病院のお話です。
アロマセラピーには、単に「香りが良い」とか「気持ち良い」だけではなく、場の空気を変える、すごいパワーがあることを知りました。そして「病気の方には禁忌!ではなく、ホリスティックに寄り添うことのできるアロマセラピー」を伝えたい、そんな気持ちが沸き起こり、今でも日本で英国式アロマセラピーを伝える原動力になっています。
ところで、同じアロマセラピーなのに、なぜ日本とイギリスでは、禁忌の考え方が異なるのでしょうか・・・?
恐らくですが、日本でもイギリスでも、腎疾患をはじめ臓器に疾患があるクライアントへの施術は、「絶対禁忌」ではなく、基本的には「医師に確認してください」とお願いすることになると思います。
医療現場におけるアロマセラピーの経験が豊富で、その有用性が知られているイギリスでは、患者さんが希望すればOKとなることが多いのですが、日本では、医師は精油やトリートメントに詳しくないことが多いため「前例がない」等の理由で許可されないこともあるかもしれません。また、中には医師に確認する勇気がなくて諦めてしまう患者さんも、いるのかも知れません。
来月、2022年イギリスの補完療法大賞(Complimentary Therapy Awards)において疼痛管理部門で受賞を果たしたサルフォード病院の腎臓内科補完療法チーム(Renal Complementary Therapy Team)を率いるジャネット・カーニー氏によるオンラインセミナーを開催します。
サルフォード病院の人工透析室では、透析治療中の患者さんたちにアロマセラピーが行われ、痛みやこり、かゆみや炎症などを和らげ、睡眠障害やストレス、不安、集中力低下を改善するなど、患者さんのQOLを高めることに成功しています。
このオンラインセミナーでは、ジャネット・カーニー氏が現場での感染管理プロトコルとガイドラインのもとで行っている人工透析室でのアロマセラピーのトリートメント法や精油ブレンディングを紹介します。
人工透析を受けている患者さんご本人やご家族、患者さんをアロマでサポートしたいセラピスト、医療現場でアロマセラピー導入を希望されている医療従事者の方にも、まずは是非イギリスでの現状を知っていただきたいと思っています
世界を知ることで、より良く変わるための第一歩を踏み出すことができるのではと思っています。
宜しければ、是非ご参加ください。
こちらのブログの写真は、ジャネット・カーニー氏からご提供いただきました。
セミナー詳細はこちらから 人工透析とアロマセラピー