2023.03.18
ポリヴェーガル理論とアロマセラピー
先日のブログで「ポリヴェーガル理論」が大切な人のレジリエンス(回復力)を高めるキーワードであるとお伝えしました。
このポリヴェーガル理論について、もう少し詳しくご紹介したいと思います。
ポリヴェーガル理論は、1994年にアメリカの神経生理学者であるステファン・W・ポージェス博士が発表した理論です。
この理論は、これまでの自律神経に関する常識を覆し、医学や心理学はもちろんのこと、教育、福祉などの幅広い分野に影響を与えました。現代は、特に慢性ストレスやトラウマを体験した方へのケアに活用されていて、セラピストなら、絶対に知っておきたい理論だと言われています!
従来の自律神経の理論では、交感神経系と副交感神経系の2つが知られています。
交感神経系は、「闘争と逃走」、つまり「戦うか逃げるか」の反応と言われていて、 突然敵に襲われたときに、呼吸が激しくなり、心拍数は高まり、血圧が上がり、アドレナリンが分泌され、消化機能は抑制されます。現代人においては、活発に活動したり、不安や恐怖に襲われたときに、この状態になります。
一方、副交感神経は、リラックスや休憩のときのモードです。交感神経系の反対で、呼吸は緩やかになり、心拍や血圧は下がり、消化機能が高まります。
この副交感神経系の中に、脳から内臓へ伸びる「迷走神経」があるのですが、ポージェス博士は、実は2つの迷走神経があるのだと提唱しました。それが、「背側(はいそく)迷走神経系」と「腹側(ふくそく)迷走神経系」です。
生命の危機が迫ったとき、「背側迷走神経系」が活性化して、いわゆる「フリーズ(凍り付き)状態」が起こります。これは、動物が捉えられたときに「死んだふり」をするのと同じで、生き残りを賭けた、究極の防御反応です。慢性ストレスやトラウマは、この「背側迷走神経系」が活性化させることが分かっています。
一方、「腹側迷走神経系」も、生き残りのための防衛反応です。でもこれは、ひとりぼっちでは自然界を生き抜いていくことができないからこそ哺乳類が発達させてきた、「社会交流の神経」です。他者が近づいても「安心、安全、大丈夫」と自分に思わせ、他者と関わり、守り合い、支え合っていくための神経です。心や身体は穏やかになり、オキシトシンが分泌され、相手にも「安心、安全、大丈夫」と思ってもらえるように表情や声も柔らかくなります。
皆様は、自身の「腹側迷走神経系」を、きちんと使えていますか?
クライアントに「安心、安全、大丈夫」を提供するセラピストは、そもそも、自分自身が腹側迷走神経系を活性化しておく必要がありますよね?「社会交流の神経」は、セラピストとクライアントとの交流でも、活性化することが可能なのです。
2023年4月30日(日)に、米国NAHAの元プレジデントでアロマセラピー界をリードし続けるジェイド・シュート氏による「ポリヴェーガル理論とアロマセラピー」のオンラインセミナーを開催します。
前半は、独学では理解が難しいと言われる、ポリヴェーガル理論について、基礎から少々専門的な内容まで、しっかりと解説していきます。脳の機能や自律神経に興味のある方も、大歓迎。
後半は、ポリヴェーガル理論にアロマセラピーを効果的に応用していくことの価値や、トラウマ、慢性ストレスに対処するための嗅覚アプローチについて解説します。
「五感の中で、嗅覚は最も軽視されているけれど、嗅覚こそが心・身体・精神を癒すことのできる最も強力なアプローチである!」と、ジェイド・シュート氏は言います。
アロマセラピストでありながら、ハーバリスト、園芸家としても活動し、普段はたくさんのメディカルハーブを育て、収穫や蒸留を行い、そのリサーチを行っているジェイド。彼女から、本物アロマセラピーのアプローチが学べる機会は、私たち日本人にとって、とても貴重なチャンスですよ!
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