2020.10.31
高齢者・認知症ケアのためのクリニカルアロマセラピー
オランダのマデレイン・ケルホフ先生によるオンライン国際セミナー「医療現場で行うクリニカルアロマセラピー」が始まりました!
看護師として病院に勤務する中で「もっと自然な方法で患者さんに寄り添うことはできないだろうか・・・?」「病気を診るのではなく、人を診てケアをしたい!」という強い思いを抱き、セラピストに転身したというキャリアを持つマデレイン先生。
「患者さんに寄り添いながら、医療とアロマセラピーの橋渡し役をする」ことを目的に、約20年前にフュージョンアロマケアという独自のアロマセラピーの方法を開発しました。
今回の国際セミナーでは、オランダのみならず、世界中の補完医療業界で注目されているマデレイン先生のフュージョンアロマケアの内容が、初めて日本で紹介されることになりました。
Day1の今日は、「高齢者、認知症ケアとアロマセラピー」がテーマです。
「高齢者は、認知症だけではなく、糖尿病やリウマチなど、様々な薬を服用していることが多い。
皮膚も弱く、解毒機能も低下している。でも、だからと言って、アロマが使えない訳ではない。
むしろ、高齢者や認知症ケアにはアロマは大変役に立ち、時にはセラピストが驚く様な結果を見せることもある。
大切なのは、アロマセラピストが高齢者の身体状態を良く理解し、正しい知識をもって行うことなのです」と、マデレイン先生は言います。
実際に、認知症を患っている高齢者の方が、香りによって記憶が呼び覚まされ、出来事に関する思い出を詳細に渡って話し始めるということも少なくないのだとか。
マデレイン先生が使いこなしているアロマのアイテムの中で、最もお気に入りで重要な役割を果たしているのが、CO2エクストラクトです。
精油と比べると大きな分子も含まれており、植物丸ごとの香りや薬理成分が詰まっています。
そして、日本人には和の香りも重要なのだとか。
香りを嗅いで「懐かしい」と感じることは、その人にとって大切な記憶を呼び覚ましたり、脳にポジティブな影響を与えるという科学的データもあるのです。
講座では、ユズ、温州みかん、ヒノキ、紫蘇、北海道モミなど、様々な和精油の紹介もありました。
マデレイン先生は、ヒノキ精油の香りを大変気に入って、なんとヒノキの木を育て始めたそうですよ!
本日のセミナーでは、高齢者や認知症を患っている方特有の精神症状、睡眠障害、痛み、皮膚のケア、創傷ケア、口腔ケア、呼吸器・免疫のサポートなどをテーマに、様々なアロマのブレンディングや活用法を学びました。
それぞれの症状に対して、マデレイン先生が長年の研究と実践の中で、ベストと思われるブレンディングレシピの紹介も多くありました。
でもそれは、「誰にでも絶対に当てはまる」というマニュアルではありません。
患者さんの症状や好み、部屋の状況、セラピーの目的などにより、柔軟にアプローチを変えていくのがクリニカルアロマセラピーでの大切なこと。
「皆さん、それぞれの患者さんにベストなブレンディングを創ってください」とマデレイン先生は言います。
それには、科学データも勿論重要ですし、安全性を確保するガイドラインも必要。
そして、患者さんに寄り添い、理解して、思いやる気持ちが大切なのです。
また、すぐに効果がないからと言って「これは効かない」と諦めるのではなく、「他のオイルではどうだろう?」「ちょっと違う方法を試してみよう」という発想の転換も重要だそうです。
ドイツのハイドロセラピストの資格もお持ちのマデレイン先生。
血行不良や痛み、創傷ケアなどには、アロマだけではなく炭酸浴が大活躍だそうで、家庭でもできる炭酸浴の方法を実演してくださいました。
前例やマニュアルがない中で、医療現場で患者さんにアロマセラピーを行っていく事は、容易なことではありません。
1つ1つ、研究と実践を繰り返しながら独自のアロマセラピーのメソッドを創り上げてきたマデレイン先生の講座は、アロマセラピーの実践の内容だけではなく、その発想や考え方の中にも、大変深い学びがあります。
印象的なマデレイン先生の言葉に、こんな言葉がありました。
「アロマセラピストは、ただアロマセラピーを施すためだけのアロマの専門家ではない。
高齢者や認知症に対する広い視野や知識を持てば、多くの身体面、感情面の問題をサポートができる。
そして、安全で温かな環境を創り出し、患者さんに、‟自分が必要とされている”、‟愛されている”、‟ケアしてもらっている”と感じてもらうことが大切なのです!」
このような心構えやアプローチ法は、高齢者ケアのみならず、全ての領域におけるケアで活用できそうですね!
セラピストとして、大切なことを学んでいます。
セミナーには、全国各地からとてもたくさんの方がご参加くださいました。
皆様、ありがとうございました!
明日はがんケア、明後日はターミナル・緩和ケアについて深く学んでいきます。
どうぞよろしくお願いいたします!