2021.04.10
ジョナサン先生による自閉症とアロマセラピー開催報告
先週末、ジョナサン・ベナビデス先生による「自閉症とアロマセラピー」オンラインセミナーが開催されました。
コミュニケーション障がいを専門に、心理学者/クリニカルアロマセラピストとして大学病院で働いていたジョナサン先生は、がんを患っている友人のケアを行ったところ、がん患者と自閉症児の共通点に気付いたそうです。
それは、どちらも「孤独」であるということ。
孤独な人に寄り添い、癒すのが自分の使命だと気づき、現在では痛みのマネジメントやターミナルケアも専門としているそうです。
ジョナサン先生が活用している「リコネクティング」というメソッドは、「再び繋がる」という意味を持ちます。
これは、「親子、兄弟、祖父母との関係性を取り戻す」という意味が含まれていて、本人だけではなく、家族全体に対するセラピーということが分かります。
興味深かったのは、このセラピーは、母親から始まるということです。
母親が、「自分の子が自閉症」というトラウマや悲しみを抱えたままでは、子どもとの絆を取り戻すことは難しいのです。
母親へのブレンド(マザーブレンド)は、好きな精油の香りというのは勿論ですが、子どもが赤ちゃん時代に使っていたベビー用品、昔好きだった香水なども!
その香りを使って、「まだ自閉症を発症していない赤ちゃん時代の幸せな記憶」を呼び覚ますのです。
そして、「バタフライハグ」というトラウマリリースのテクニックを行います。
胸の前で腕をクロスさせて、両手で胸をトントンする、シンプルな動きです。
これは、EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)に基づく触覚刺激のテクニックで、ネガティブな感情を促す右脳の暴走を抑え、ポジティブな思考を促す左脳の働きを刺激することで、辛い記憶を手放すのに大変効果があります。
そして、バタフライハグの後、再度マザーブレンドを使うことで、新しい「幸せな記憶」を創っていく事ができるのです。
「香りが記憶を呼び覚ます」というのは周知の事実で、認知症ケアに使われることが多いのですが、自閉症児の親に使うとは、素晴らしいアイディアですね!
ジョナサン先生のお話を聴いて、私も、娘が生まれた頃のことをしみじみと思い出しました。
自閉症とは違いますが、私もスペシャルニーズを持つ子の母親です。
自然療法のお陰で、比較的穏やかに過ごすことができましたが、それでもやはり「子供が障がいを持っている」という告知を受けた時の衝撃は、今でも忘れることができません。
もちろん、子どもの障がいだけでなく、家族や自分の病気の告知を突然受けるなど、同じような気持ちを抱えている方が、世の中には多くいらっしゃると思います。
ジョナサン先生のメソッドを、必要としている方に届けていきたいですね!
さて、自閉症の子どもへのケアですが、一人ひとり症状やニーズが異なってきますので、まずは、注意深く観察することが大切です。
睡眠の問題、攻撃性、こだわり、集中、無反応、落ち着きのなさ、泣き叫び続ける、多動、拒絶など、それぞれの接し方、具体的なおすすめの精油とその活用法を教えていただきました。
触れる手法は、優しく指先で足や背中を撫でるマッサージやボールを使ってしっかりと圧をかけるマッサージなどがあります。
触れない手法としては、ディフューザー、インへーラー(アロマスティック)、枕スプレーなど。
嗅ぐだけで出来るケアも多くあり、それぞれの特長があります。
「子どもに拒絶された時は・・・、母親はスパに行ってトリートメントを受けましょう!」なんて、ヨーロッパらしい発想もあり、ウンウンと頷きながら聴いていました。
今回のテーマは「自閉症とアロマセラピー」でしたが、実際には自閉症以外の様々なケアに使えそうなものが多く、アロマセラピーの手軽ながら奥深い世界に、たくさんの気づきと発見がありました。
ジョナサン先生の講義には、いつも愛の力が溢れています。
あの笑顔で接してくれたら、どんな頑なな心も緩んでしまいそうですね!
ご参加の皆様、ありがとうございました!
受講生さんはアロマセラピスト、医療従事者、心理や療育の専門家、自閉症や発達障がいを持つ方のご家族など。
海外からのご参加もありました。
ジョナサン先生からの教えを活かして、活動していきましょう。
時には、自分自身にもセルフハグを♥
次回のジョナサン先生の講座は、GWに開催します。
実技も多いワークショップです!
医療介護の中で行う痛みのマネジメント~アロマとタッチを活用するHEARTSテクニック~