2021.05.06
医療・介護の中で行う痛みマネジメント~HEARTS~Day3
オランダのクリニカルアロマセラピストで心理学者のジョナサン先生による医療・介護の中で行う痛みのマネジメント~HEARTS~の最終日。
「思い出の人と対話」で痛みを緩和させる、「マフ」を使ったワークを学びました。
「マフ」とは、手を温めるための防寒具ですが、これにボタンや鍵やポンポンなどの飾りを付けることで、様々なテクスチャ(触感)を持つ素敵なセラピーグッズとなります。
クライアントは、マフの肌触りを味わい、思い出の香りを嗅ぎながら、「思い出の人」と会話を行っていきます。
思い出の人とは、天国にいる両親かもしれませんし、旦那さんかもしれません。
子どもが天国に行ってしまった両親の精神の痛みにも、このワークを行うのだそうです。
その場合、クライアントはマフを撫でながら子と対話し、その間中、セラピストはクライアントを撫で続けるのだそうです。
この触感を使ったワークは、認知症の方にも、パーキンソン病など運動感覚障害を持つ方にも役立ちます。
どんなワークでも、「香り」はとっても重要な要素です。
でも、全てのクライアントが植物にまつわる思い出を持っている訳ではなく、時にアロマセラピストとして難しい香りのリクエストをもらうこともあるそうです。
例えば、ある末期がんの患者さんは、ノルウェーの漁師町出身で、お父さんと旦那さんと対話するために「船の香りを嗅ぎたい」と言ったそうです。
そこで、ジョナサン先生が取った行動は・・・!?
精油以外のある物をブレンドし、何とかして「船の香り」を創り出したそうで、患者さんがボトルを嗅いだ瞬間「ああ!父の船!」と言った幸せな表情が、ジョナサン先生は今も忘れることはできないのだそうです。
緩和ケアとターミナルケアの領域で長年経験を積み、数え切れない程の生と死に向き合ってきたジョナサン先生。
受講生さんから「ジョナサン先生自身のセルフケアはどうしていますか?」なんていう質問も、自然に飛び出しました。
クライアントの家でセッションを行った帰り道、自転車に乗りながら涙が止まらなくなって、同僚に電話をして自分がセラピーを受けることもあるそうです。
「セラピストも一人の人間。
自分のためにアロマを使ったり、森林を散歩したり、他のセラピストからセラピーを受けたりしましょう!」
ジョナサン先生の経験談、そして言葉の一つ一つが、美しくて、愛に満ちていて、そして強くて、セラピストに希望を与えるポジティブな内容でした。
最後は、寝たきりの方にも応用できる、横向きのHEARTSのデモンストレーション。
ジョナサン先生の優しいまなざしとジェントルなストロークは勿論のこと、セッション中にかける言葉の美しさにも、感動しました。
「目を閉じたまま、窓の外を見てみましょう」
「芝の香り、花の香りを感じてみましょう」
「鳥が歌っているのが聞こえますか」
「あなたは、遊歩道を歩いています。そして、楽しんでいます・・・」
「痛みが・・・身体から抜けていきますよ・・・」
神がかり的な美しさに、デモンストレーションの写真を撮るのを忘れてしまいました!
「セラピストが介入することで、QOLは人生の最後の最後まで保つことができる!」
今回のワークショップを通して、ジョナサン先生が繰り返し伝えていた名言です。
そのためには、愛を持って接すること、
そして、クライアントと自分を重ね合わせて、「自分だったらどうして欲しいか」を考えて行動することが大切。
「自分の人生の最後は、どのように過ごしたいか?」そんなことも考える、良いきっかけとなり、とても深い学びとなりました。
もちろん、この学びは、普段は緩和ケア領域で働いていないセラピストであっても、どんなセラピストにとっても大切なことです。
ご受講された皆さん、ありがとうございました!
HEARTSテクニックの公式コースは、日本で初開催でした。
これから、HEARTSのタッチを受けるクライアントが日本で増えていくこと、とても嬉しく思っています。
必要な人の手にセラピーの手が届きますように、共に活動していきましょう????
なんだかまだ感動の中にいて、うまく纏まりませんが、これから私もしっかり復習してセラピスト活動に役立てていきたいと思います!