冨野学院長のブログ

2022.09.29

英国がんケアとアロマセラピー開催報告

先日、英国ロンドンとライブでつなぎ、「がんケアとアロマセラピー」の国際オンラインセミナーが開催されました。

講師のエマ先生は、ガイズ&セントトーマスNHS財団ディンブルビーがんケアセンターのセラピストで、がん、緩和ケア、終末期ケアを専門としているクリニカルアロマセラピストのベテランです。

日本と同様、英国でもがん患者の数は多く、生存率が高まっているため、がんと共に生きる患者や治療後のケアが必要な患者の数は、増え続けています。

セラピストは、直接的な「治療」をするわけではありませんが、痛みや苦痛の緩和、治療の副作用の緩和、心のケアなど、患者さんのQOLを高めるために、大切な役割を果たしています。

エマ先生をはじめとするセラピストの活動や実際のケア内容を学ぶために、全国からたくさんのアロマセラピストや医療従事者、患者さん本人や家族がオンラインセミナーに参加されました。

がん治療の現場でよく訴えられる副作用の一つとして吐き気が挙げられます。吐き気がひどければ、QOLが著しく低下してしまうばかりか、深刻であれば治療の継続が難しくなってしまうのです。

そこで、薬に頼らないナチュラルな吐き気の緩和法として使われるのが、アロマセラピーとツボの組み合わせです。吐き気におすすめの精油としては、レモン、カルダモン、スペアミントが挙げられました。いずれも、スカッとするような明るさのある香りです。

右端のリップスティック状のものが「インヘーラー」真ん中がシール状の「アロマパッチ」

患者さんからの訴えによくあるお悩みとして、化学療法誘発性抹消神経障害(CIPN)があります。これは、抗がん剤治療の後によく見られる症状で、手足の痺れや感覚鈍麻、チクチク感、痛みなどを起こします。

この場合は、キャリアオイルに希釈した精油を塗布したり、タッチセラピーやリフレクソロジーが有効なのだそうです。よく使う精油としては、ペパーミント、ローズマリー、ゼラニウムなどで、血流を促進して、ぼんやりした感覚をリフレッシュするのに役立つのだそうです。

心のサポートも、セラピストの重要な仕事。病気や入院、治療に対して患者やその家族が不安な気持ちを抱くのは、当然のことです。エマ先生たちは、不安でたまらない人に対して、いきなり「アロマが良いですよ!」とは言わずに、まずはフレンドリーに自己紹介して、打ち解けることから始めるのだそうです。実際によく使われる精油としては、ラベンダー、ネロリ、ベチバーが挙げられますが、本人が良く知っている香りや思い出のある香りを使うと会話が弾むきっかけにもなり、更に良いのだそうです。

大切な人へのハンドマッサージ

エマ先生たちのセラピストチームは、だいたい40種類くらいの精油を現場で持ち歩いているそうで、患者さんにも精油選びに参加してもらい、好きな香りを使うように心がけているのだそうです。

ただ、精油シングルで使うことはあまりなく、2種類以上の精油をブレンドするようにしているのだそうです。理由としては、「香りが”思い出”とリンクしないように」とのこと。例えば、病院のケアでレモンの香りを使ったとすると、退院後に患者さんがどこかでレモンの香りを嗅いだ時に、病院での治療の日々がフラッシュバックしてしまうこともあるのです。そのため、クリニカルアロマの現場では、患者さんの好きな香りを優先しつつも、セラピストのさじ加減でブレンディングを行うのだそうです。

病院におけるアロマセラピーは、もちろん安全第一です。患者さんの希望を聞きながら、臨機応変に対応しているようにも見えますが、実は、現場のセラピーは、厳格なプロトコル(規定や手順)に従って行われています。精油の種類や濃度などもしっかりと管理されていて、注意事項や禁忌なども徹底されてます。10名以上のセラピストチームでたくさんの患者さんをケアするわけですから、プロトコルを遵守することが大変重要なのです。このディンブルビーがんケアセンターで使われているアロマセラピーのプロトコルは、近隣の病院と協力して作成されたものなのだそうです。

英国でもアロマセラピーは国家資格ではありませんが、このようにきちんと基準が定められているのは、素晴らしいことですね!

エマ先生のセミナーの中で、実際に病院でアロマケアを受けた患者さんからのメッセージが紹介されました。「素晴らしいです!なんて美しい体験でしょう」「ひどい旅の中でも、良い気分になるための明るく輝く道しるべです」「とても、とても、助かります!」「生まれ変わったような気分にさせてくれます」「体内の全てのシステムがリフレッシュされます」「生きている実感を取り戻しました」などなど。

院内でのアロマセラピーが、一時的なリラクセーションやちょっとしたご褒美ではなく、本当に価値のあるものだということが、患者さんの声からも伺えました。

集合写真のエマ先生のおどけた表情(左上)を見て、いつも患者さんとこんな顔で接しているんだろうなぁ~と思うと、なんだかじーんと来てしまいました。

ご参加の皆様、ありがとうございました!!!

日本ではまだ少ないがんケアにおけるアロマセラピーですが、まずは身近なところから、少しずつ、広がっていけたら良いと思っています。アロマとタッチの良さを一番知っている私たちが、必要な人々に届けられるよう、セラピストの皆さん、共に頑張りましょう!

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