2023.09.05
アロマセラピストなら読むべき『スピリットとアロマテラピー』
ガブリエル・モージェイ先生の著書『Aromatherapy for the Healing the Spirit (邦題:スピリットとアロマテラピー、フレグランスジャーナル社』は、世界で最も多くのアロマセラピストに愛読されているアロマセラピーの書籍ではないかと思います。
ヨーロッパ人のアロマセラピスト愛読していますし、アメリカでも大・大・大人気。もちろん、日本でも超ロングセラー、ベストセラーのアロマセラピー本です。

ガブリエル先生は、「アロマセラピストは、医師のように手術や薬で病気の治療はしないけれども、ホリスティックに心身に働きかけることで、伝統的な東洋医学と似たようなアプローチをすることができる」と考えています。
薬用芳香植物から抽出され、漢方薬と同じ素材から採られることもある精油ですが、ときには漢方薬以上の素晴らしい働きをすることがあるのです。
それは、嗅覚が、東洋医学で言うところの「五神(5つのスピリット)」へ働きかけるアプローチです。
そうそう、この本はタイトルが「スピリット」ですが、いわゆる「スピリチュアル系」の本ではありません。
正真正銘、コッテコテの東洋医学とアロマセラピーの本で、ここで言う「スピリット」とは、五臓が宿す五神(志、魂、神、意、魄)を指します。
五神を癒し、調和させることで、心身のバランス、特にメンタルを整えていくためのエッセンシャルオイルの活用について、詳しく解説されている本です。
簡単に、この本の概要をお伝えします。
第1章では、基本的なアロマセラピーの実践方法と、東洋医学の陰陽五行のダイナミクスが述べられ、そして分かりやすい五行と精油の一覧表が付いています。
第2章では、40種類の精油について、東洋医学的な解説(五行の要素と寒・熱・燥・湿など)やその薬用芳香植物の伝統的シンボル、現代医学的な薬理作用、安全性などについて詳細に解説しています。
東洋医学の解説ばかりに目が行きがちですが、ページ右上の伝統的シンボルにも是非注目してみてください。
ギリシャ神話、エジプト神話、占星術、アーユルヴェーダ、錬金術、初期キリスト教、中国の神様、アボリジニ、ブッシュマンなどと薬用芳香植物の関連性が伺え、ガブリエル先生の知識の宝庫を垣間見ることができます。

第3章では「不安」「うつ」「怒り」「物忘れ」「考え過ぎ」など、主にメンタルの問題に対して、東洋医学の五神から解説し、精油の選択やブレンディングのヒント、臨床的な方法論として精油とツボ組み合わせの紹介があります。
とくに、薬理作用では「抗うつ作用」と一言で片づけられてしまいそうな「うつ」については、約20ページに渡って「水の要素のうつ」「木の要素のうつ」……と五行のタイプ別に詳しく紹介されています。
気分が落ち込んでいる人であれば、どんな人でもこの20ページを読めば、「あ、私これ!」と精油が選べてしまいます。
実は、この『スピリットとアロマテラピー』は、私が初めて読んだアロマセラピーの本で、私をアロマセラピーの奥深い世界に招き入れてくれた本です。
このガブリエル先生の薬用芳香植物に対する深い知識と愛が満載の本を翻訳されたのは、前田久仁子さんという方で、以前はIFPAジャパンカンファレンスで講演もしてくださいました。
初めてお会いしたのは、まだ日本で「アロマセラピスト」と名乗って仕事をする人が少ない時代で、アロマセラピストで鍼灸師でフランスのハーブ薬局でお仕事をされているなんて、もう尊敬の眼差しで、お会いするだけでドキドキしたものでした。
さて、実はこの『スピリットとアロマテラピー』には、もう一つの見どころがあるのです!
次回のブログでご紹介しますね。