2024.05.19
スペシャルニーズと自然療法
ヨーロッパに行ったときのこと。
路面電車で座席に座っていた私は、後から乗ってきた方に「席を譲ってください」と言われて慌てて立ち、「自分から席を譲ってと言えるとは、素敵だな」と思ったのを覚えています。
同じくヨーロッパで地下鉄の駅構内を歩いていると、突然人がダッシュで走り出し、ベビーカーを持ち上げて階段を上ろうとしていた女性を手伝い、地上まで上がりました。
その女性は感激すると思いきや、意外とアッサリと、軽くお礼を言って立ち去りました。
その光景に「これが”普通”なんだ!なんだか素敵だな」と思ったのを覚えています。
助けが必要な人を助けるのが普通、助けが必要なら「助けて」と言えるのが普通、そのような社会には、優先席もヘルプマークも必要なさそうですね。

「スペシャルニーズ」という言葉があります。
これは「特別な支援・配慮を必要とする」という意味ですが、車椅子を利用している方、高齢者、妊婦、乳幼児、身体や精神に不自由のある方、発達に凸凹のある方など、とても広い意味を持っています。
日常生活に支障のない、いわゆる「普通の人」であっても、人生が終わりに近づけは、誰しも周りからサポートを受ける必要があります。
つまり、「スペシャルニーズ」と無関係な人はいないのです。
もし、目の前に助けが必要な人がいたら・・・、ナチュラルにお手伝いができる自分でありたいものです。

スペシャルニーズを持つ家族や友人に、「アロマセラピーやリフレクソロジーなど自然療法のセラピーをしてあげたい!」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
従来の医療とは別のアプローチで心身に働き、痛みの緩和やリラクセーションをもたらしてくれる自然療法は、スペシャルニーズを持つ人にもとても有効です。
しかし、スペシャルニーズを持つ人と言っても、寝たきりの場合、車いすの場合、言葉でのコミュニケーションが困難な場合など、その状態やニーズはさまざまで、「臨機応変」な対応が求められます。
この「臨機応変」こそが、自然療法においては得意分野でもあるのです。
自然療法には、香りを使うもの、タッチを使うものなど、さまざまな手法があります。
また座っていても、寝ていても、相手が心地よい状態であれば、どのような姿勢でもおこなうことができます。
家庭であれば、ソファーや座布団、座椅子、アイロン台など、身近なグッズを使うのも良いでしょう。
少しの工夫で、とても気持ちがよく、誰もが笑顔になるセラピーが、家庭で簡単に行えるのです。

この夏、スペシャルニーズを持つ人へのアロマセラピー&タッチケアのワークショップを開催します。
さまざまスペシャルニーズを持つ人に対する、精油の選択やアプリケーション(手法)の考え方ついて解説し、さまざまな「触れ方」について、デモンストレーションと解説をおこないます。
「大切な人に笑顔になってほしい」と願う方、「痛みや苦痛を和らげてあげたい」と願う方、どうぞご参加くださいね。
ワークショップでは、できる限り個別のご質問にもお答えしていきたいと思っていますので、ご家族や友人にスペシャルニーズを持つ人がいらっしゃる方も、是非お気軽にご相談ください。