2016.01.26
アロマセラピーの資格 その② ~IFPA、IFAの違い~
前回のブログで、日本とイギリスのアロマセラピーの違いについてお話しましたが、英国のアロマセラピーの資格取得を目指そうと思った方は「IFPA」と「IFA」という、2つの協会があることに気づくことでしょう。
他に、ITECという資格もありますが、こちらは試験機構であり、アロマセラピーの協会ではありませんので、ここでは、2つのアロマセラピー協会について説明しますね。
名前のソックリなのには、理由があるのです。
かつて、イギリスには、ISPA、IFA、RQAという3つの大きなプロフェッショナル・アロマセラピスト協会と、小さなアロマセラピー団体が合わせて12もありました。
1991年に、それらの団体の上に立つ「Aromatherapy Organization Council (AOC)」が作られ、当時RQA会長であったガブリエル・モージェイ氏がAOC会長に就任しました。
そして、ガブリエル・モージェイ氏が「アロマセラピストが英国政府からサポートを得て、その地位を向上させるためには、アロマセラピーの協会を1つにする必要がある」と提案し、その提案にISPAとIFAのトップも同意しました。
1999年~2001年にかけて、合併に向けて、ISPA、IFA、RQAの3者による話し合いが行われました。
ISPAは当時最も大きかった協会で、IFAはイギリスで最も古い協会で、RQAは、ガブリエル・モージェイやロバート・ティスランド等、イギリスのアロマセラピー界を代表するセラピストが所属する、大変活気のある協会でした。
3つの団体が、それぞれの良い所を活かし、「イギリス最大で唯一のプロフェッショナルアロマセラピー協会を創り、大学などの機関でアロマセラピーの研究を進め、医療、福祉などそれぞれの現場での臨床経験を集結し、会員同士がシェアしたり外部に向けて発信する場を創ることで、補完療法としてのアロマセラピーの地位を確立しよう!」という目的の下、合併に向けての準備が進められました。
そして、「どこの団体がどこを吸収した」ということの無いよう、公平に、3つの協会から名前を取り、IFPA(International Federation of Professional Aromatherapists)命名し、会長は、3つの協会から一人ずつ出ることになりました(初代共同会長は、Linda Orton-Jay、 Ian Smith、Gabriel Mojayの3名)。
2002年4月25日、英国の国会上院(貴族院)にて行われたIFPAの設立式典の様子。
式典でスピーチをするガブリエル・モージェイ氏
(写真はガブリエル・モージェイ氏提供)
しかし、「イギリス最大のアロマセラピー協会を創る」という目的は達成されたものの、「唯一の協会を創る」という目的は、果たされませんでした。
合併まで僅か数日という最終段階において、IFAの一部の人たちが緊急会議を招集。
50人しか参加できなかった緊急会議(当時の会員は約1200人)で、僅か2票差でIFPAへの合併が否決されてしまったのです。
会長と副会長、理事たちを含む約200名のメンバーはIFAを脱退し、IFPAに移動しましたが、IFAの組織はそのまま残ることになりました。
そのまま、長い年月が経った今でも、IFPA、IFAという2つの協会が存在し続けているのです。
IFAは、その後、英国よりアジア方面で会員数を増やしているようですが、IFPAは、当初の目的通り、イギリスの大学でIFPA認定のアロマセラピー学科を設け、大学と共同でアロマセラピーに関する研究や調査を行い、補完療法士として様々な現場で活躍するアロマセラピストを多数輩出し続けています。
シャーリー・プライス氏、レン・プライス氏、ジェーンバックル氏など、イギリスのアロマセラピー史上に名を残す著名なアロマセラピストがIFPAのメンバーとなっており、様々な現場での臨床報告が行われるカンファレンスには、世界からイギリスの補完療法の現状を見ようと多くの方が訪れています。
臨床アロマセラピーの専門誌で化学データが満載の・International Journal of Clinical Aromatherapy編集長、欧州最大の植物療法カンファレンスBOTANICAの主催者のリアノン・ルイス氏(左)もIFPAのメンバーです。
アロマセラピーの資格 その③ ~日本で英国の資格を取るということ~
イギリス式のアロマセラピーのお話を聴きたい方、是非IMSIのアロマ体験会にいらしてくださいね。