2019.05.21
病院の中のアロマセラピー~ロイヤルフリー病院訪問2
ロイヤルフリーホスピタルで行われているアロマセラピーマッサージについて、紹介させていただきます。
アロマセラピーマッサージは、病院のチャリティー活動によって賄われている事業の1つ。
正面玄関近くには、チャリティー専用のオフィスがあり、
訪問者からチャリティー募金を受け付けるほか、
様々なチャリティーイベントが企画されています。
募金は、アロマに限らず、患者さんとその家族に快適に過ごして頂くためのサービスに使用されています。
病院の中には、「ご自由にどうぞ」というコーヒーやお菓子のサービスが。
点滴を受けながら、リラックスしてお菓子を頬張り、お喋りしている患者さん達も多く見られます。
「ハーイ! 元気?」「休暇はどうだった?」「そのシャツ素敵ね~」など、
誰もがカジュアルに声を掛け合い、
誰が患者さんで、誰がスタッフなのかわからないくらい、明るい雰囲気です。
さて、アロママッサージのシステムについてです。
まず、その日にセラピーを受ける患者さんが、医師や看護師によって選ばれ、
下記の情報が記載されたMassage Referral Formがセラピストに届けられます。
●病棟
●氏名
●主治医
●病気の種類
●放射線治療を受けているか? ⇒ Yesであれば、その部位も詳しく記載。例えば左胸に放射線を受けていたら、左側の背部もマッサージはしない(右胸や左腰はOK)
●隔離されている患者か? ⇒ Yesであれば、グローブやエプロンを装着しての施術となる。
●その他の情報、コミュニケーション手段(意思疎通ができない場合)、触れてはいけない部位など
●メディカルチームからの許可の有無
そして、病状によって「週5回マッサージを行う」「週1回、6週間マッサージを行う」など、
施術の頻度や回数が決められるのだそうです。
セラピストは、このような道具の入ったバッグを持って、患者さんの病棟を訪ねます。
●消毒スプレー、
●アロマブレンドオイル(市販のオーガニックのもの)
●ココナッツのクリーム(オイルが苦手な方用)
●書類の束。
この書類には、
言葉を聞いたり、話したりすることが出来ない方のために、指さしで会話ができるための秘策も含まれます。
マッサージはいかがですか? はい / いいえ
ご希望の部位は? (指をさして答える)
マッサージに来たけれども患者さんが(検査などで)いなかった場合、セラピストがベッドに残すメッセージまで用意されています。スゴイ!(まるで、機内食のサービスみたいですネ)
「おあいできず残念でした〜 マッサージセラピストより」
施術後は、このような申し送りシートに、患者名、病棟、施術部位、病名、コメント、施術担当者のイニシャルを記載して、記録を残します
(コメントは、ニコちゃんマークのような絵でも良いのだそうです)。
施術メニューは「アロマセラピーマッサージ」の1種類のみで、部位は患者さんの希望や体調によって、様々。
15分~20分の、ソフトなマッサージです。
以前訪問した時に、「ソフトといって、解釈はそれぞれだと思うのですが・・・」と質問したところ、
「癌、白血病、骨髄移植の患者さんには最もソフトに、
MS(多発性硬化症)の方は感覚を感じにくいので、少しだけ圧をいれる」と、
長年の経験で培った独自のアロママッサージを伝授してくださいました。
↓2014年の訪問。
ちなみに、癌の方に最もソフトに行う理由は、
マッサージが癌の転移を促すと考えられているからではなく、
健康な血球成分が低下しているためアザができやすいからなのだそうです。
「マッサージが癌の転移を促すとは考えられない。
マッサージが癌の転移を促すと言うなら、入浴後バスタオルで身体を拭くことも、転移を促してしまうではないか!」
というのがこちらの病院の見解だそうです。
入院患者だけでなく、外来患者や病院スタッフも、誰でも施術が受けられます。
そのため、このような個室のセラピールームも用意されているのです。
家族を亡くして悲しみに暮れる方も、ここでトリートメントを受けられるそうですよ。
キースさんと病院の中を歩いていると、多くの患者さんやその家族が「キースのマッサージは最高よ!」と私に声をかけてくれました。