2019.05.21
訪問看護ステーションにて認知症・高齢者ケアとアロマセラピー
オムソーリ訪問看護リハビリステーション様よりお声掛けをいただきまして、「認知症ケアに取り入れる!在宅で使えるアロマセラピー」という講座を開催させていただきました。
オムソーリさんは、スウェディッシュマッサージをはじめとする北欧式のセラピーを取り入れていらっしゃる訪問看護リハビリステーション。
アロマセラピストさんも常駐されていて、スタッフさんの温かいホスピタリティが溢れている、素晴らしいステーションです。
参加者は、介護職、ケアマネージャー、看護師など、専門職の方が多くいらっしゃいました。
「アロマセラピーを現場に取り入れたい!」というお気持ち、とても嬉しく思います!
セミナーでは、高齢者や認知症ケアに有効な様々なアロマセラピーの活用法をご紹介させていただきました。
セミナーノートから、少しだけご紹介します。
●食欲低下には、グレープフルーツやスイートオレンジなどの酸味のきいた柑橘系や、ミント、カルダモンなどの爽やかな香りがおすすめです。
特に、グレープフルーツは、皆さんが嗅いだ瞬間に皆が「うわぁ~!」と歓声が上がりました。
先日のスコットランドにおけるIFPAカンファレンスでも、入院患者さんには柑橘系の香りが大評判だという報告がありました。
●嚥下機能の改善には、ブラックペッパーの香りが効果があるという、東北大学の研究データがあるのです!
嗅ぐだけで、脳の嚥下機能をつかさどる部位の血流があがり、嚥下反射を起こすサブスタンスPという物質の濃度が上昇することで、誤嚥の改善に役立つのです。
●抑うつ傾向の改善には、オレンジスィートのような柑橘とイランイラン、ネロリなどの花のブレンドがおすすめ。嗅ぐだけで、うつの方は元気になり、パニックやヒステリックの方はリラックスするという、両方の効果が得られます。
●昼夜逆転、不眠症状の改善には、ラベンダートゥルーやオレンジスィート、クラリセージ、サンダルウッド、マジョラム、クラリセージなど、鎮静作用のある精油を上手に使うと良いでしょう。
「何日もよく眠れていない・・・」とおっしゃっていた方が、十数分後にはスヤスヤと寝息を立てている・・・ということはアロマセラピーの現場ではよくあること。
イギリスのロイヤルフリー病院のキース・ハント先生は、「アロマセラピストが15分仕事をすれば、看護師の手が1時間空く」と仰っていました。夜勤の看護師さんには、アロマはなくてはならない存在ですよね。
●認知機能の改善には、鳥取大学の研究データが世界的に有名ですね。
朝はローズマリーカンファーとレモンのブレンド、夜はラベンダートゥルーとオレンジスイートのブレンドで、認知症の予防効果があるばかりか、軽度・中度の認知症の改善があったというのは、世界中のアロマセラピストに希望を与える大ニュースでした!
ローズマリーカンファーは、高血圧や癲癇をお持ちの方にはおすすめできませんので、代わりにバジルも健脳作用がありおすすめです。
●褥瘡のケアに関しては、患部への精油の使用はアレルギーなどのリスクもあるため、ご本人だけではなく、医師と家族の同意の下慎重に行われるべきですが、芳香蒸留水やクレイで患部の清潔を保ち、ティートゥリー、ラベンダートゥルー、カモミールジャーマン、サイプレス、ヘリクリサムといった抗炎症・殺菌・循環促進・抗血腫作用などを持つ精油ブレンドを植物油に希釈して患部に塗布することで皮膚の回復を期待することができます。
ほかにも、身体からローズが香るサプリメントや、薬用育毛剤のお話など・・・、雑談がたくさん飛出し、笑いが絶えない、あっという間の2時間でした。
アロマスプレー実習では、皆さんご自分のためのスプレーを創ると思いきや「受持ちの患者さんにスグに使ってあげたい!」という声も多く、皆さんの優しい心に感動しました!
最後は、アロマですっかり和んだ皆様と記念写真。
皆様、ご参加ありがとうございました!
主催のオムソーリデュケーション様、ありがとうございます。
私たちが英国式のアロマセラピーを日本に紹介し始めた25年前は、「医療現場にアロマを」とか「できるだけ不要な投薬を減らしたい」と言うと、「は!?」と言われる時代でしたが、今では医療現場へのアロマセラピー導入にご興味を持って下さる方が増えて、本当に嬉しく思います。
皆様のご要望に応えられるよう、益々国内外のアロマセラピーの事例を多く学んで、必要な方にアロマセラピーの情報をお届けしていきたいと思います。