2014.09.05
ロイヤルフリーホスピタルのマッサージセラピーの内容
セラピーを受ける患者さんは、医師や看護師によって選ばれ、下記の情報が記載されたMassage Referral Formがセラピストに届けられます。
●病棟
●氏名
●主治医
●病気の種類
●放射線治療を受けているか? ⇒ Yesであれば、その部位も詳しく記載。例えば左胸に放射線を受けていたら、左側の背部もマッサージはしない(右胸や左腰はOK(¥)
●隔離されている患者か? ⇒ Yesであれば、グローブやエプロンを装着しての施術となる。
●その他の情報、コミュニケーション手段(意思疎通ができない場合)、触れてはいけない部位など
●メディカルチームからの許可の有無
このフォームがないと、セラピストは患者さんをマッサージすることができないのです。
そして、病状によって「週5回マッサージを行う」「週1回、6週間マッサージを行う」など、施術の頻度や回数が決められるのだそうです。
セラピストは、このような道具の入ったバッグを持って、患者さんの病棟を訪ねます。
●消毒スプレー、
●2種類のブレンドオイル(市販のオーガニックのもの)
TRANQUILITY ブレンド:アーモンド油、小麦胚芽油、ホホバ油、ローズヒップ油、アロエベラ、シダーウッド精油、ゼラニウム精油、ラベンダー精油
BABYブレンド:アーモンド油、小麦胚芽油、ホホバ油、ローズヒップ油、アロエベラ、マンダリン精油、カモミール精油、ラベンダー精油。
どちらも1%濃度
●ココナッツ油のクリーム(オイルが苦手な方用)
●書類の束。
この書類には、
言葉を聞いたり、話したりすることが出来ない方のために、指さしで会話ができるための秘策も含まれます!
マッサージに来たけれども患者さんが(検査などで)いなかった場合、セラピストがベッドに残すメッセージまで用意されています。スゴイ!!
施術後は、このような申し送りシートに、患者名、病棟、施術部位、病名、コメント、施術担当者のイニシャルを記載して、記録を残します
(コメントは、ニコちゃんマークのような絵でも良いのだそうです)。
施術内容ですが、
どの患者さんにも、オイルやクリームを使った15分~20分の、ソフトなマッサージです。
「ソフトってどのくらいの圧??」という質問に対して、
「癌、白血病、骨髄移植の患者さんには最もソフトに、このくらい。
MS(多発性硬化症)の方は感覚を感じにくいので、少しだけ圧をいれて」と、細かく実演してくださいました!
ちなみに、癌の方に最もソフトに行う理由は、マッサージが癌の転移を促すと考えられているからではなく、健康な血球成分が低下しているためアザができやすいからなのだそうです。
「マッサージが癌の転移を促すとは考えられない。
マッサージが癌の転移を促すと言うなら、入浴後バスタオルで身体を拭くことも、転移を促してしまうじゃないか!」
とのことでした。
この病院では、以前は他の自然療法も取り入れたことがありましたが、結局のところオイルを使ったマッサージセラピーだけが残ったのだそうです。
施術メニューは1種類のみですが、心臓血管系、消化器系、神経系、感染症、癌、リウマチ、呼吸器、泌尿器、産婦人科など、全ての病棟の患者さんとその家族に施術を提供しているそうです。
もちろん、入院患者だけでなく、外来患者や病院スタッフも、誰でも施術が受けられます。
そのため、このような個室のセラピールームも用意されているのです。
家族を亡くして悲しみに暮れる方も、ここでトリートメントを受けられるそうですよ。
つづく