オランダの心理学者でクリニカルアロマセラピストのジョナサン先生による「トラウマ・うつとアロマセラピー入門」が開催されました。
オランダのライデン大学精神科小児センターで長年患者さんと向き合ってきたジョナサン先生は、常に「より効果的な手法」を探し求めていました。
そして、行き着いたのが、五感を刺激するアロマセラピーでした。
この事を聞いただけでも、アロマセラピストに大きな希望を与えますよね!
ジョナサン先生の講義は、20年以上に渡り現場で活用してきた精油やその使い方、と最新のリサーチの両方を聞くことができる、素晴らしい機会となりました。
「うつ」や「トラウマ」は、とてもデリケートなトピック。
「他人に話すべきではない」と教えられることも多く、そのため、誰にも助けを求めることができず、1人で悩んでいる方も多いのです。
うつとは、「道を歩いていたら、突然穴に落ちてしまった」ようなものだと、ジョナサン先生は言います。
自力で穴から這い出て、また歩き出す人もいるかもしれません。
でも、自力で穴から出られない人もいれば、穴の中が心地よく感じて、更に深く潜ってしまう人もいるのです。
アロマセラピーは、そのような人たちに、「上を向けば光があるよ!」ということを気づかせてくれる素晴らしいメソッドです。
アロマセラピーの良い所は、香りを嗅ぐことで、とにかく「胸の締め付け感」を楽にできることです。
香りを嗅ぎながら簡単な呼吸をするだけで、マインドをリラックスさせるだけでなく、固まった呼吸筋を緩め、酸素をたくさん吸入することにもつながります。
この簡単な呼吸法は、1日のうち、いつでも、何度でも行うことが可能です。
「嗅ぐこと」が有効な場合もあれば、触れて行うトリートメントが有効なこともあります。
講座では、精神科入所施設にいる患者の興奮状態を鎮めたというエビデンスのある、アロマハンドマッサージの手法が伝授されました。
セラピストの手の指先で、相手の指や掌、前腕部を軽く撫でるようなテクニックです。
通常のアロマセラピートリートメントを学んでいる方は、「密着!」と教わっていると思いますが、興奮状態にある方にしっかりと触れてしまうと、更に興奮してしまうことがあります。
そのため、超ソフト&マイルドな触れ方のほうが、興奮状態にある患者さんが安心するのだそうです。
精油ブレンディングの考え方も、うつとトラウマを持つ人々に対しては、通常のアロマセラピーとは違う、独特な考え方ががあります。
「Stimulant(刺激・活性)」が必要な場合でも、現場でローズマリーを使用することはありません。
ジョナサン先生のおすすめは、バランス & 活性作用を持つ、レモン、パイン、ベルガモットのブレンディングです。
また、「Calm(鎮静)」が必要な場合も、鎮静させ過ぎないように気を付けることが重要。
ジョナサン先生のおすすめは、バランス & 鎮静作用を持つ、モミ、フランキンセンス、ラベンダーのブレンディングです。
一般的によく見られる不安神経症には、バランス & 活性 & 鎮静の3つの作用を合わせ持つブレンドとして、スウィートオレンジ、サイプレス、ローズがおすすめだそうです。
長年大学病院で活動してきたジョナサン先生は、アンチ西洋医学ではありません。
正しい診断、そして西洋医学との併用も、早期回復のカギだと述べています。
例えば、薬の即効性が感じられず、すぐに薬を止めてしまう人に対しても、アロマセラピーが重要なのだそうです。
薬によっては効果が感じられるまで時間がかかることがありますが、アロマセラピーの効果で「気分が良い」と感じていただくことで、薬をきちんと服用していただき、回復をサポートすることにもつながります。
たくさんの臨床経験を持ち、更に精油のエビデンスについても熟知しているジョナサン先生ですが、「最も大切なのは、愛を持って接すること????」と言います。
ジョナサン先生は、「患者さんが、良い気分になり、楽になって、喜ぶ姿」を想像しながら、ケアに当たるのだそうです。
これは、発達障害、自閉症、緩和ケアなど、どの現場であっても、ジョナサン先生がアロマセラピーを行うにあたって常に大切にしていることです。
私たちセラピストにとっても、場所がサロンでも、スパでも、スポーツ施設でも、セラピーを施す相手がお客様でも、家族でも、友人でも、どんなシチュエーションであっても、本当に大切なことですよね。
今回も、国内外のセラピスト、医療従事者、教育者、カウンセラー、指導者、うつやトラウマを持つご本人やご家族など、多くの方がジョナサン先生の講座にご参加くださいました。
このテーマに、多くの方が関心を持ち、アロマセラピーに期待をしていることが伺えます。
ジョナサン先生の教えを、それぞれの現場で役立てていきましょう!
2022年、ジョナサン先生の公式コースが続々と開講されます。
今回の入門コースに参加されていなくても、ご受講可能です。