2022.04.27
「落ち着きのなさ」と自然療法
「落ち着きがない」と言われる子どもは、昔からクラスに一人や二人はいたものです。
いつしかADHD(注意欠陥・多動性障がい)という呼び名が付くようになりましたが、これは古くから「子どもの問題」と思われていました。このような子どもたちは、学校で大人しく座っていることが難しく、走り回ったり、机の上でジャンプしたりして、先生を手こずらせます。 座っていられないのですから、勉強どころではありません。
思春期ごろから、次第に行動が落ち着いてくることがあります。
親や先生たちは「ああ、良かった……」と胸を撫でおろすでしょう。
でも実は、これは「静かにしていないと、怒られる」という知識が付いたためであり、頭の中は子ども時代と変わっていないということもあるのです。
つまり、走り回ったり、机の上でジャンプしたりはしませんが、常に考えが頭の中をグルグルと巡っていて、物事に集中できないため、忘れ物やケアレスミスが多くなるのです。
このまま、大人になっていく方も少なくありません。
そして自分が親になったり、社会人として責任が大きくなったりすることで、益々苦手なことが増えて苦しくなり、自信を喪失してしまうこともあるのです。

私は、発達や心理の専門家ではありませんが、セラピストとして、たくさんの「落ち着きのなさ」に悩む子どもや大人にお会いしてきました。
そして、東洋医学的な観点から、言えることがあります。
東洋医学には、「五臓に宿る精神=五神」という考えがあります。
このうち、脾臓に宿る「意」という精神が、思考、意識、集中力、記憶、知性、学習能力などを意味しています。
つまり、脾臓の機能が低下すると、集中力に欠け、物事を深く考えられなくなり、注意力散漫になります。
物事を覚えるのも苦手で、勉強ができない、仕事のミスが多いということにもなります。
これは、現代で言うところのADHD(注意欠陥・多動性障がい)の特徴によく当てはまります。
では、東洋医学的に脾臓を強化するには、どのようにしたらよいのでしょうか……?
セラピストであれば、経絡や反射区など、様々な自然療法のテクニックが役立つと思います。
でも、一番手っ取り早く誰でも簡単にできることが、食生活の改善です。
東洋医学には、五臓を癒す五つの味という概念があり、脾臓を癒す味は、「甘い味」です。
ですから、「甘いものをどんどん食べましょう!」と言いたいところなのですが……、古代の人々が食べていた甘い味は、現代人が食べている甘い味とは全く別物であることは、言うまでもありません。
現代の人は、砂糖や甘味料を摂り過ぎて、むしろ脾臓をおかしくしているのかもしれません。

イライラしてくると甘い物が欲しくなるのは分かりますが、ここは少し我慢して、できるだけ「昔の人が食べていた甘い味に近い物」を適量摂るのがおすすめです。
東洋に古来から存在していた季節の果物や穀類、イモ類などでしょうか。
じっくりとよく噛んで、満足いくまで味わうのがおすすめです。
アロマセラピーでは、スイートフェンネル、スイートマジョラムなど、甘みのあるハーブ調の香りもいくつかあり、いずれも脾の気の流れを整えるのに重宝します。
ペパーミントやカルダモンなど、消化器系に良いとされる精油も、五行の土の要素である脾の気を整えるのに大変効果的です。
「落ち着きのなさ」に最もすすめられる精油の1つは、フランキンセンスかもしれません。
脾の気の流れを整える効果があるのは勿論のこと、フランキンセンスは「落ち着かせて、集中させる」のが得意な精油です。
フランキンセンスは、西洋では瞑想に使われる香りですが、瞑想とは、正に落ち着いて、集中している状態なのです。
「集中したいのにできない」という時や、何かをじっくりと考えたい時、それに勉強のお供に最適な精油なのです。
東洋医学は、決して難しい物ではなく、私たち日本人にとって馴染みがあり、理解しやすい家庭医学です。
私たち日本人の体質にもとてもマッチします。
そして、アロマセラピーは、現代医学の治療とは異なりますが、だからこそ、家族で楽しめますし、穏やかで安心できるサポートとなります。
東洋医学やアロマセラピーなどの自然療法を試してみたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
東洋医学とアロマセラピーをしっかりと学びたい方はこちらのコースがおすすめです。
心理と発達にアロマセラピーを用いた世界的な第一人者から直接学ぶ、国際オンラインセミナーもお申込み受付中です。