心の病とアロマセラピー

これまで何の問題もなく、スタスタと地面を歩いていたのに、ある日突然、”落とし穴”にストンッと落ちてしまいました……！

その穴は、自力で這い上がるには少々深すぎる穴です。

ハテ、どうしましょう……？

先日、オランダの心理学者、ジョナサン・ベナビデス先生による「トラウマ・PTSD・うつとアロマセラピー入門」が開催されました。ジョナサン先生によると、うつに陥る時は正にこのような感じで、今まで全く問題がなく、順調だった人が、突然ストンッと落ちるのだそうです。

穴に落ちた時、すかさず誰かが地上から「おーい！」と声をかければ、落ちた人は、出口が上にあることが分かるでしょう。すぐに穴から這い出ることは難しかったとしても、ハシゴなどの道具を求めたりしながら、出口に向かって歩みを始めることが可能になります。

ところが、穴に落ちた後、誰からもサポートが得られなかったら……？

時間がっ経てば経つほど、落ちた人はそこに留まることに安心感を覚え始め、穴から出ることが怖くなってしまい、更に穴の深い所に入り込もうとします。そして、深く、深く入り込み過ぎてしまうと、益々出るのが難しくなってしまいます……。

アロマセラピーと温かいタッチングは、正に、穴に落ちた人に「おーい！」と声をかけるサポートのようなものです。深い穴からグイっと地上に引っ張り上げる程の大きな力ではないけれども、穴に落ちた人に上に出口があることに気づいてもらい、出口に向かって歩み始めるための一歩になります。

世の中にはたくさんの「健康に良い」と言われる療法がありますが、嗅覚を使うアプローチであるアロマセラピーは、その中でもとてもユニークな働き方をします。それは、「脳と呼吸の両方に、瞬時に働きかける」ということです。これがアロマセラピーが心のケアに最適と言える絶対的な理由なのです。

すべての精油が呼吸を促すと言えますが、特に胸部を開いて深い呼吸を促すのに勧められる精油としては、ユーカリ、ラヴィンサラ、モミなどのグリーン調や針葉樹調の香りが挙げられます。また、真正ラベンダー、ネロリ、レモン、イランイラン、ゼラニウム、ローズなど、多くの精油や精油成分に抗不安作用のエビデンスがあることが知られており、家庭で安全に活用できるディフューザーや塗布、トリートメントでも有効性があることが分かっています。

長年オランダの大学病院の精神科で患者さんと向き合い、常に「患者さんファースト」の医療を心がけてきたジョナサン先生は、「従来の心理学の手法に加えてアロマセラピーを活用することが最も効果的だった！」と自信たっぷりに仰っています。

2023年には、ジョナサン先生が長年培ってきた心のケアとアロマセラピーをじっくりと学ぶ２つの認定コースが開講します。薬に頼りすぎるのも、薬を怖がりすぎるのも良いことではありませんが、西洋医学と自然療法の両方を知り尽くしたジョナサン先生が、心の病に対するアロマセラピーを使った最適なアプローチ、精油選びやブレンディング、触れ方や最適なトリートメント法、薬との併用などを、余すところなく伝授してくださいます。

2023年1月28日（土）29日（日）開講トラウマ・PTSDとアロマセラピー

2023年3月20日（月）21日（火・祝）開講うつと不安のためのアロマセラピー

※どちらも1か月視聴可能なアーカイブ（録画）受講ができます。

ジョナサン先生のコースには、家族や友人のケアに使いたい一般の方や、精神医学の現場で活動されている専門職の方、プロのアロマセラピストなど、さまざまな受講生さんが参加されます。

そのため、ジョナサン先生が伝授するアロマセラピーのケアは、「落ち込みや不安」といった比較的軽めの問題をお持ちの方にも、医学的な範疇の重篤な問題をお持ちの方にも、どちらにも活用できる手法です。

心の病は、誰でも無関係ではなく、いつ起こるか分からない身近な問題。自分や家族がいつ陥るか分かりませんし、セラピストとして活動する際、コンサルテーションにて、クライアントが精神疾患の薬を服用していることが分かったというケースも多々あります。

心の病に対する安全で効果的なアロマセラピーの導入方法を学んでおけば、突然ストンッと穴に落ちた方に、すかさず「おーい！」と呼び掛けることができるのです。シンプルだけれどもパワフルなアロマセラピーの力に、今後、益々注目していきたいと思います。