2020.05.06
オランダの医療現場におけるアロマセラピーその3 精油とCO₂エクストラクトの使い分け
その2「本当に効果のあるアロマセラピーを探って行き着いたCO²エクストラクト」
の続きです。
オランダのクリニカルアロマセラピーの第一人者・マデレイン・ケルホフ先生より、現地の情報をいただいたのでシェアいたします。
CO₂エクストラクトの特長の一つに、「熱に弱い芳香成分や大きな分子の芳香成分も含め、ほとんどの芳香成分を得ることができる」ということがあります。
まさに、CO₂エクストラクトは、生きている自然界の植物と同じ香り、そして同じエネルギーを持つ物質なのです。
「もっと患者さんに効果のあるアロマセラピーのケアはないだろうか・・・?」試行錯誤でたどり着いたのが、ジンジャーののCO₂エクストラクト。
その後、ターメリックやブラックペッパーのCO₂エクストラクトを使い始めてみたところ、驚くべき効果があることが分かりました。
特に、痛みや吐き気の緩和には、精油よりも、CO₂エクストラクトのほうが、ずっと効果が高かったのです。
すぐに、製造業者から様々な種類のCO₂エクストラクトを取り寄せ、患者さんに試す日々が始まりました。
認知症の患者さんのケアには、ラベンダートゥルーのCO₂エクストラクトを使うようにしています。
もしハーブガーデンを訪れたことがある患者さんであれば、ラベンダーの香りを嗅いだことがあるでしょう。
ラベンダートゥルーのCO₂エクストラクトは、まさに植物そのまんまの香り。
その香りを思い出すことで、患者さんの忘れられた記憶を蘇らせるきっかけになることもあるのです。
病とともに生きる人々へのアロマセラピー、特にターミナルケアには、心理面へのアプローチが欠かせません。
心理面のケアには、、ローズのCO₂エクストラクトもよく使います。
ローズのCO₂エクストラクトは、ローズアブソリュートのように強い芳香を持ちます。
アロマセラピストの皆さんならご存じだと思いますが、溶剤抽出法で抽出されたアブソリュートは、毒性の強い溶剤が残留している可能性がありますので、私たちのようにデリケートな患者さんを相手にしているアロマセラピストは、決してアブソリュートは使いません。
もちろん、CO₂エクストラクトだけではなく、精油もたくさん使用しています。
ベルガモット、ティートリー、ヘリクリサム、カモミール、ゼラニウム、マジョラム、マンダリン、ユズ、タイム、シナモンバーク、ローズマリー、ネロリ、ナツメグ、ミルラ、スペアミント、イランイラン、ファーなど・・・。
珍しい精油でいうと、ブッダウッド、コパイバ、マヌーカの精油なども使います。
CO₂エクストラクトよりも、敢えて精油を選択するということもあります。
例えば、ペパーミントの精油は、メントールの含有率が50%近くあるのに対して、ペパーミントのCO₂エクストラクトは25%程度です。そのため、鎮痛作用などメントールの効用を重視するのであれば、CO₂エクストラクトではなく精油を使います。
ただCO₂エクストラクトのほうが断然香りが良く、香りの好みのテストをするとCO₂エクストラクトを好む患者さんのほうが多いため、心理面や感情面のケアを重要視するのであれば、ペパーミントのCO₂エクストラクトを使うことのほうが多いです。
このように、目的や用途によって、精油かCO₂エクストラクトかを使い分けています。
私が行っているクリニカルアロマセラピーの全ては、「患者さんにもっと良いケアはないだろうか・・・?」という私の探求心に、患者さんが答えをくれたことから生まれたのです。
2020年10月31日~11月2日、来校とオンラインと同時開催予定です!
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認知症、がん、緩和ケアの現場で行われる最前線のFusion AromaCare™
自然療法の国際総合学院IMSIの授業は、当面の間、オンラインで対応しています。
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