2024.10.14
精油ブレンディングにおいて大切なこと その2 空間芳香デザイン
前回のブログでは、個人セッションにおけるブレンディングで大切なことについて書きました。
今回は、空間芳香デザインにおける精油ブレンディングについて書いてみたいと思います。
空間芳香デザインとは、目的やニーズに合わせてカスタマイズされたアロマの香りで空間をデザインすることです。
これもアロマセラピストならではの、素敵な活動ですよね。
空間とは、ショップかもしれませんし、結婚式などの特別なお祝いの場かもしれません。
ギャラリーかもしれませんし、ライブハウスかもしれません。
医療や福祉の現場かもしれませんし、ビジネスの場かもしれません。
どのような場であっても、クライアント(依頼主)の希望に合わせながら、精油が持つ香りと機能を最大限に活かして、空間を演出していきます。

ここでもやはりクライアントのニーズをしっかりと汲み取る傾聴スキルと、ニーズに合った香りを提供するための精油の知識が必要不可欠で、この点は個人セッションにおけるブレンディングと同じです。
しかし、個人セッションとの違いは、香りを実際に嗅ぐのは不特定多数の人であり、体調や香りの好みを把握することが不可能だということです。
前回のブログでは、個人セッションにおいては心身に「ドンピシャリ!」の精油を選べば、ごくシンプルなブレンディングでも良いと書きましたが、空間芳香ではそうはいきません。
大勢の人が好む香りであっても、苦手な方がいることは確かです。
例えば、あるレモンの香りが苦手な方は、「レモンは集中力アップに良い」と聞き勉強中に使用したのですが、試験に失敗したことでレモンの香りが苦い思い出とリンクしてしまったのです。
また、ある方は頭痛の緩和のために好きなネロリの香りを嗅いでいたら、後にネロリの香りを嗅ぐと頭痛を思い出すようになってしまいました。
このように、人気のレモンやネロリの香りでさえ「苦手」と思う方がいるのですから、やはり不特定多数の方が利用する空間芳香のブレンディングは、特定の香りが強く出ないよう注意が必要なのです。
私は通常、4種類以上の精油をブレンディングすることをおすすめします。

もうひとつ、不特定多数の人が嗅ぐ精油選びで気を付けるべきことは、「禁忌の無い精油を選ぶ」ということです。
個人セッションでは、対象者おひとりの禁忌を考慮したら良いのですが、空間芳香においては、対象は「すべての人」となります。
そのため、高血圧やてんかん、妊婦や乳幼児に禁忌の精油、エストロゲン様作用を持つ精油、医薬品との相互作用が懸念される精油など、禁忌事項のある精油はやはり全般的使わないようにします。
そうなると、人気のペパーミントやシネオールが多いタイプのユーカリ、ローズマリー、レモングラス、ローズなども除外したほうが良さそうです。
「皮膚に塗布する訳ではなく、嗅ぐだけだから大丈夫だろう……」と思われる方もいるかもしれません。
確かに、皮膚へのリスクは塗布以外の用法であれば防げますが、それ以外のリスクについては、吸入でも気を付けるべきです。
例えば、IMSIのIFPAコースのがん患者への精油使用ガイドラインは、英国のNHSのディンブルビーがんケアセンターのガイドラインをベースとしていますが、「エストロゲン様作用が報告または示唆されている精油については、エストロゲン依存性がん患者には”吸入を含むあらゆる経路”での使用を避ける」とされています。
やはり、不特定多数の方が利用する空間における芳香は、どんな病気や症状を持つ方が利用するか分かりませんから、禁忌といわれる精油は避けるべきです。
(ちなみに、来月の国際医療福祉大学の佐藤先生によるアロマセラピーの作用の科学的解明に向けた研究とその結果では、嗅いだ精油の分子が血流に入り、脳のどの部位に、どのくらいの量が運ばれていくのかといった「薬学的伝達経路」を世界で初めて解明した研究が紹介されます。
この研究結果を見ると「嗅ぐだけだから安全」とは言えないことがよく分かります。興味のある方、ぜぜひご参加ください)

最後に、香らせ方についてのアドバイスです。
空間芳香となると、業務用のディフューザーを何台も稼働させないとならないイメージをお持ちかもしれません。
でも、個人アロマセラピストに依頼が来る場合、大規模な施設ではなく、小さな会場が多いかと思います。
その場合は、必ずしも何台ものディフューザーが必要とは限りません。
何台ものディフューザーを一度に稼働させると、当然ながら精油の消費量が半端ないですし、そこで一日中過ごすスタッフさんたちが香りを嗅ぎ過ぎてしまいます。
小さな会場では、入ってきたお客様がフワリと香りを感じるようエントランスに噴霧式のディフューザーを設置して、それ以外は必要に応じてアロマストーン、リードディフューザーなど、電気を使わない方法のほうが良い場合もあります。
この辺りは、実際の空間の広さや換気の度合いなど、現場を見てから決めた方が良さそうですね。
アロマセラピストとして活動をしていると、普段は個人セッションを中心に活動していても、突然、空間芳香デザインを依頼されるということもあります(私もそうでした!)。
ご縁があったときにお仕事のチャンスをしっかりと掴めるよう、普段から空間芳香のブレンディングも練習をしておくと良いですね。
ブレンディングは、トリートメントと同様、実践あるのみです。
自分や家族、大切な人のために、どんどんブレンディングを創って、実践を重ねていきましょう♪
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