2024.04.01
ポリヴェーガル理論と原始反射
・ポリヴェーガル理論とは？
ポリヴェーガル理論は「新しい自律神経理論」とも呼ばれ、従来の自律神経の捉え方に加えて、心と体の状態をよりよく理解するのに有益です。特にトラウマやメンタル疾患や心の問題へのアプローチに役立てられていることから、臨床心理学の領域で注目されています。
米国の精神生理学・行動神経学者のステファン・W・ポージェス博士によって、1994年にはじめて提唱されました。
＜ポリ・ヴェーガル＞とは、＜複数の・迷走神経＞を意味し、日本語では多重迷走神経理論という訳語が使われています。ポージェス博士は、自律神経系の発達を、進化を軸にとらえて、人間の自律神経系には3つの神経枝があると唱えました。３つとは、２つの副交感神経枝と１つの交感神経枝です。
古いものから順に、太古の魚類に備わっていたとされる、進化的に古い迷走神経である＜背側迷走神経複合体＞、次に、硬骨魚の時代に現れたとされる＜交感神経系＞、次に、哺乳類のみに見られる新しい迷走神経とされる＜腹側迷走神経複合体＞です。
＜腹側迷走神経複合体＞
豊かな表情を作ったり、声のトーンを調整して自分の気持ちを伝えたり、相手から発せられる特に友好的なメッセージを受け取ったりと、人と人とがつながり、交流するために欠かせない働きを担っています。
＜交感神経系＞
主に活動するときに使われます。また、危機に瀕すると「戦うか・逃げるか」を選択することもします。
＜背側迷走神経複合体＞
消化吸収や睡眠なども司っていますが、生命の危機に瀕するような状況やストレス時には「凍りつき反応」を引き起こします。この「凍りつき」の状態では、思うように身体が動かなくなり、呼吸や心拍が遅くなります。戦うことも逃げることもできず、凍りついている状態です。一般にはトラウマを抱える人に多いといわれています。
腹側迷走神経複合体がバランスよく働いているときは、他者から非友好的な態度を取られても、社会的交流を心がけることができるといわれます。そのため、交感神経系の闘争・逃走反応に走ることは少なくなります。
背側迷走神経複合体もよく機能するので、胃腸をはじめ、睡眠もとりやすくなり、体調がよくなります。また、脳にも十分な血流がいきわたり、思考や状況判断などがよりよく行えます。反対の場合、自律神経系の働きが乱れ、内臓もうまく機能しなくなり、思考や感情が乱されやすくなります。
【ポリヴェーガル理論と原始反射】
ポリヴェーガル理論の背側迷走神経複合体のところででてきた、「凍り付き反応」が意味する心身の様子。これが
「恐怖麻痺反射」（現在では恐怖麻痺反応といわれることが多い）の様子ととてもにているのです。
同じ理論ではないので、一緒に考える必要もないですが、人間には、自分自身が望まなくても身体がうまく動かなくなる、呼吸や心拍がゆっくりして、ひきこもるようになることがあるということに注目している部分では重なりがあります。
やや粗い方法ですが、ポリヴェーガル理論を原始反射の統合の実践の世界から覗いてみると、私は、以下のようにとらえています。わかりやすくもなるし、実践面でもセラピストとして、大切にしたいポイントも明確になるのではと思っています。
背側迷走神経集合体の凍り付き反応が強い状態・・・恐怖麻痺が強く、原始反射が統合していないか、場合によって、原始反射がでにくくなっている状況
交感神経で闘争逃避状態のとき・・・・モロー反射をはじめとして、他の原始反射が上手く統合していない状態
原始反射が活性し、反射がおさえられていない状況
腹側迷走神経複合体がスムーズに働いているとき・・・・原始反射は楽に統合し、日常活動がスムーズ。目標にむかっているときも、ストレスの閾値がさがり、抵抗力や回復力が保たれている。思考はスムーズに、感情も心地よくつきあえる状態。
原始反射の統合は、ポリヴェーガル理論が提唱される前から行われていたアプローチですし、
無理に対応させる必要はないと思いますが、ポリヴェーガル理論に興味をもつ心理専門家の方などは
原始反射の統合も理解しやすいようで、よく質問をうけますし、興味をもってもらっています。お伝えしたワークもセルフケア指導に取り入れたりしているようで、よいフィードバックをよくもらいます。
私自身も、ポリヴェーガル理論に興味をもちながらボディワークと重ねていました。
そんな中で、今年の3月、
心理学者で世界的なアロマセラピスト ジョナサン ベナデビス先生に
「ポリヴェーガル理論とアロマセラピー」セミナーを開催していただきました。
アロマをつかった事例をいろいろ聞いてみたい！
ジョナサン先生からどんなこと学べるのかしらと、とっても楽しみにしていました。
その感想を次に書いてみたいと思います。
IMSIの体験会・オープンキャンパス（無料、ご予約制）
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