2026.08.28
原始反射とは? 大人や子どもの「なぜ?」を身体から考える
原始反射という言葉を、どこかで聞いたことがありますか?
子どもの姿勢や運動、読み書きについて調べていて知った方もいれば、緊張しやすい、疲れやすい、身体にいつも力が入っている。そんな自分自身のことを調べているうちに、原始反射という言葉に出会った方もいるかもしれません。
原始反射とは、赤ちゃんが生まれながらに持っている、自動的な身体の反応です。
例えば、生まれたばかりの赤ちゃんは、手のひらに触れると指をぎゅっと握ります。大きな音がすると、身体をビクッとさせます。頬のあたりに触れると、おっぱいを探すように顔を動かします。
誰かに教えてもらったわけではありません。生きていくことや、その後の発達のために、生まれたときから身体に備わっている反応です。
では、なぜ赤ちゃんの反射が、子どもや大人の話に出てくるのでしょうか。
原始反射は赤ちゃんだけのもの?
赤ちゃんの頃に活発だった原始反射は、脳と身体の発達とともに、少しずつ前に出にくくなっていきます。
自分で頭を支える。寝返りをする。座る。立つ。歩く。
さまざまな経験を重ねる中で、身体を自分で調整して動かせるようになっていきます。これを、原始反射の統合と呼んでいます。
ところが、子どもや大人になっても、特定の姿勢や動き、緊張した場面などで、原始反射による身体の反応が強く現れることがあります。
ここが、原始反射を知ると面白いところです。
目次
「頑張っているのに、なぜ?」を身体から見てみる
例えば、
姿勢をよくしようとしているのに、すぐに崩れてしまう。
本を読んでいると、目や頭がすぐに疲れる。
人前に立つだけで、身体がガチガチになる。
周囲の音や人の動きが気になって、集中し続けるのが大変。
鉛筆やペンを、指が白くなるほど強く握っている。
こうしたことには、もちろんさまざまな理由があります。すべてを原始反射だけで説明することはできません。
ただ、身体の反応という視点を加えると、今までとは少し違うものが見えてくることがあります。
「もっと集中しなさい」
「ちゃんと姿勢をよくしなさい」
「緊張しなければいいのに」
そう言われても、本人はすでに十分頑張っているのかもしれません。
同じことをするために、人より身体に力を入れていたり、姿勢を保つために余分なエネルギーを使っていたり、刺激に対して身体が先に反応していたりすることがあります。
私は原始反射を見るとき、できていないところを探すというより、その人の身体がどんなふうに工夫して今までやってきたのかを見ることが多くあります。
「この人の身体は、ここでずっと頑張っていたんだな」
そう見えてくると、それまでとは違う理解や働きかけが見つかることがあります。

原始反射があるかどうかは、自分で分かる?
インターネットでは、
「この動きが苦手なら○○反射」
「これができなければ原始反射が残っている」
といった情報を見かけることがあります。
けれども、原始反射は、困りごとだけで判断できるものではありません。
実際には、頭を動かしたときに身体がどう動くか、左右で動き方に違いがあるか、目・手・足がどのように連動しているか、姿勢を変えたときに呼吸や筋肉の緊張がどう変わるかなど、身体を動かしながら反応を見ていきます。
同じ「姿勢が崩れやすい」という人でも、身体で起きていることは一人ひとり違います。
だから私は、チェック項目の数だけで判断するより、その人自身の身体を見ることが大切だと考えています。
原始反射は変わることがあるの?
ここは、初めて原始反射を知った方が一番気になるところかもしれません。
身体は、大人になったらもう変わらないものではありません。
私が行っている原始反射統合では、身体に触れて行う「統合セラピー」を大切にしています。
統合セラピーは、施術者から受ける方法のほか、ご家庭で親がお子さんに行えるものもあります。
また、身体を動かして行う「統合エクササイズ・セルフケア」には、一人でできるものや、二人以上で一緒に行えるものがあります。
その人の身体の状態や目的に合わせて、こうした方法を組み合わせながら、身体が姿勢や動きを調整しやすくなるよう働きかけていきます。
変化の現れ方やペースは一人ひとり違います。
身体への働きかけをしたあとに、
「さっきより立ちやすい」
「身体に入っていた力が抜けた」
「目を動かしやすい」
「動きが楽になった」
そんな小さな違いに気づくことがあります。
そして日常の中でも、以前より緊張しにくくなった、座っていることが少し楽になった、運動するときの身体の使い方が変わった、今まで避けていたことを少しやってみようと思えた、という方もいます。
大切なのは、誰かと同じようにできるようになることではありません。
その人自身が、
「前より少し楽」
「前より身体を使いやすい」
と感じられること。
身体に少し余裕が生まれると、それまで難しかったことに取り組む余裕につながることもあります。
「できない理由」を探すためではなく、「できる可能性」を増やすために
原始反射という言葉を知ると、
「私にはどの反射が残っているんだろう」
と考えたくなるかもしれません。
もちろん、それを確認することもできます。
でも私は、反射の名前を知ることそのものより、
「自分の身体は、こんなところで頑張っていたんだ」
と気づくことの方が大切だと思っています。
姿勢が崩れる。緊張する。動きにくい。疲れやすい。
それまで性格や努力の問題だと思っていたことを、身体という別の角度から見てみる。
すると、「もっと頑張る」とは違う方法が見つかることがあります。
原始反射を知ることは、自分や家族を決めつけるためのものではありません。
身体の仕組みを知り、
「では、ここから何ができるだろう」
と考えるための一つの入り口です。
もう少し詳しく知りたい方へ
もしこの記事を読んで、
「私にも関係があるのかな」
「子どもの身体を、一度違う角度から見てみたい」
と思った方は、気になるテーマのブログ記事「原始反射の統合」カテゴリーから読んでみてください。
・大人にも原始反射は関係するの?
・人前や慣れない場所でガチガチに緊張してしまうのはなぜ?
・集中できない、気が散る、じっと座っていられないのはなぜ?
・この服はダメ、靴下も嫌、触られるのも苦手
そして、自分ではよく分からない、実際の身体の反応を見てみたいという場合には、身体を動かしながら一緒に確かめていくこともできます。
原始反射という言葉を知ったことが、自分や大切な人の身体を、今までとは少し違う目で見るきっかけになればと思います。
※この記事は、原始反射について知るための一般的な情報です。原始反射の有無を診断するものではなく、診断や治療に代わるものでもありません。強い症状や生活上の困難がある場合は、必要に応じて医療機関や専門機関へご相談ください。
