2026.06.04
原始反射の統合に20年近く向き合って、今あらためて思うこと
原始反射という言葉を耳にする機会が、以前よりも少しずつ増えてきました。
子どもの発達、学習、姿勢、運動、感情のコントロール、緊張しやすさ、疲れやすさ。
さまざまな困りごとを考えるときに、原始反射という視点が紹介されることも増えてきたように感じます。
私が原始反射に出会い、学び、実際に多くの方と関わるようになってから、気づけば20年近い年月が経ちました。
その間、子どもから大人まで、さまざまな方の身体の反応や変化を見てきました。
そして今、あらためて感じていることがあります。
それは、原始反射は単なる知識ではなく、人をより深く理解するための大切な視点になるということです。
原始反射を学び始めると、まずは反射の名前や特徴を知るところから始まります。
モロー反射、把握反射、緊張性迷路反射、ATNRなど、それぞれの反射には特徴があり、身体や行動の現れ方にもつながりがあります。
この知識は、とても大切な入口です。
けれども、人と向き合う中で大切になってくるのは、その知識を使って、目の前の人をどう丁寧に見ていくかということです。
その人の身体が、どんなふうに世界を感じているのか。
どんな場面で緊張しやすいのか。
どこに力が入りやすいのか。
どんな言葉や関わり方をすると、少し安心できるのか。
そうした小さな反応を見ていくことが、講座でも個人セッションでも、とても大切な部分だと感じています。
たとえば、
落ち着きたいのに落ち着けない。
集中したいのに集中できない。
姿勢を保とうとしても、すぐに崩れてしまう。
頭ではわかっているのに、身体が思うようについてこない。
こうしたことは、性格や気持ちの問題として見られてしまうこともあります。
でも、身体の発達や神経の働きという視点から見てみると、本人の努力不足だけでは説明できないことがあるとわかってきます。
この視点があると、お困りごとを性格や気持ちの問題として片づけるのではなく、身体の状態からも理解していくことができます。
できないことを指摘するのではなく、
もしかすると、身体の土台の部分でサポートが必要なのかもしれない。
身体が安心して動ける準備をしている途中なのかもしれない。
そんなふうに、見方をやわらかく変えることができます。
原始反射の学びが深まるほど、私は「反射名を当てること」よりも、「その人の身体が今、何を必要としているのか」を観察することが大切だと感じるようになりました。
同じように見える反応でも、背景は一人ひとり違います。
生活環境、これまでの経験、身体の使い方、緊張のパターン、安心できる感覚。
さまざまな要素が重なり合って、その人の今の状態があります。
だからこそ、原始反射という視点に加えて、その人らしい反応や背景も一緒に見ていくことを大切にしています。

私が行っている原始反射統合は、医療的な治療ではありません。
何かを無理に変えようとするものでもありません。
その人の中に本来ある力が、もう少し自然に働きやすくなるように支えるものだと考えています。
身体が安心すると、呼吸が変わることがあります。
力の入り方が変わることがあります。
姿勢や動きが、少しずつ変わっていくことがあります。
そして、身体の変化が、気持ちや行動にも少しずつ影響していくことがあります。
もちろん、その変化はいつも劇的なものばかりではありません。
むしろ、小さな変化の積み重ねであることが多いです。
でも、その小さな変化の中に、その人が本来持っている力が見えてくることがあります。
20年近く原始反射に向き合ってきて、私が今あらためて思うのは、人は外側から変えられる存在ではなく、自ら変わる力を持っている存在だということです。
私たちができるのは、その力が働きやすくなるように、身体の土台を整えるお手伝いをすること。
そして、その人自身が自分の感覚に気づき、自分の身体と少しずつ仲良くなっていく過程を支えることだと思っています。
原始反射という視点は、お困りごとの原因を探るためだけのものではありません。
その背景を理解したうえで、その人の中にある本来の力を引き出していくために役立つものだと、私は考えています。
「なぜそうなるのか」が見えてきたら、そこで終わりではありません。
そこから、どんな関わり方をすると身体が安心するのか。
どんな言葉をかけると、その人が自分の感覚に気づきやすくなるのか。
どのように支えると、次の一歩に進みやすくなるのか。
その後の関わりこそが、原始反射統合で大切にしたいところです。
これまでにも、このブログでは原始反射や身体と脳のつながりについて書いてきました。
長く現場に立ち続けていると、同じテーマであっても、以前とは少し違う角度から見えてくることがあります。
原始反射という言葉が広がってきた今だからこそ、知識だけではなく、人をどう見るか、どのように関わるかという視点を、あらためて大切にしたいと思っています。
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